川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

料理人、でした

 開演。

 プロローグの最初のト書き。「空中には、数十枚の、大小さまざまな銀の皿が吊られ・・・」と千賀さんの声。
 あぁそうか、と思う。カフェの壁の、丸い明かりが、暗い中で吊り下げられたお皿のようだ。

 『料理人』は、食べる事が禁じられた世界のお話。錠剤により栄養を取る事で、食料難や余剰生産物の放棄と言った問題も無くなり、時間の無駄も無くなって、めでたしめでたし・・・のはずが・・・。

 この本を読んだ時に思い出したのが、(夫の)母の入院時のこと。点滴栄養で絶食状態の母は「お腹すいた〜」と言い続けていた。普段から驚くほど少食、以前受けた手術により味覚にも問題があったのだが、それでもやっぱり「お腹すいた〜」。どれ程、母は飢えていたのだろうと思う。
 アトピー治療のための週末断食。たった一日の断食でもどれ程苦しかったか。

 料理を作ることも食べる事も、五感をフルに使う。それをするなと言われる苦しさ。
 そうして、人々は少しずつおかしな方向へ向かって行く。

 私の役は、いきなり男を縛り上げてますわ。リーディングなので、台本どおり首輪・目隠し・鎖ではないですが・・・。
 「去勢牛!」
 って、まぁ、なんて台詞を吐くんでしょう。
 慣れない役処に、正直、稽古始まった頃はかなりアタフタしておりました。基本、Mキャラの私が、Sな台詞。いやはや。・・・旦那が観に来てなかったのが残念・・・え?

 余った時間でマニアックな研究をする人、言葉で満たされようとする人、密かに食べる人。食べたい人食べさせたい人。様々な人が行きかう。総勢17人。
 
 出演者が、懐中電灯の明かりで舞台上に積まれた台本を照らし、終幕。
 この公演が終わったら、またそれぞれの場へ。そんな集まり。もう一度この顔触れでってことは、無いんだろうなぁ。一回だけなのが残念。

 しばし、会場で飲んだり食べたり。お客さんが帰った後は、バタバタと片付け、退出。

 戸塚まで帰らなきゃいけないから、それ以上一緒に飲みに行きますともいかないのも残念。

 お客様、共演者の皆様、呼んでくださった千賀さん、そして岸田理生さんに、心から感謝!ありがとうございました。


 家に帰って、読み損なっていた日曜の新聞を広げる。大好きな奥薗さんのレシピ。あはは、タコだ。「ジョセフィ〜ヌ」だ。日曜のお気に入りコーナー「20のまちがいさがし」のお題は「あたまだせ〜♪」。うふふ、「でんでんむしですよ。」
 こう言う偶然は、好き。
 稽古に行く前に原宿の美術館で見た北斎展では、鞠子の宿の浮世絵。おぉ、「とろろ、とろろ」すり鉢からすくい取っている姿に微笑んだっけ。
 え?何が嬉しいのか?面白いのか?
 『料理人』を観た人だけが判ります。


 と言うことで、今日は久しぶりの学童バイト。「暑い〜暑い〜」と言いながら、なんでそんなにくっつくんだよ〜。
 おやつはぶっかけ蕎麦。大量の胡瓜の千切り作り。手がすっかり胡瓜臭いです。