川島むーのお茶祭り日記

お茶祭り企画代表、川島むーの心に映り行くよしなし事を、あれこれと

待つこと

 芝居で「待つ」と言えば、『ゴドーを待ちながら』な訳ですよ。でもってそれを下敷きにした数々の作品。そんな作品に夢中になっていた世代です。竹内銃一郎氏の作品とか、第三舞台の『朝日のような夕日をつれて』とか。

 さて、今度の「待つ」は・・・

 と言うことで、引き続き大阪滞在の今日は、芸術創造館へ。いいむろなおきマイムカンパニー 『Waiting 〜とりあえず、黙って待ってみる…〜』へ。

 今回の帰阪、2劇べったりももったいない、他に観るものは?と思ったら、ばっちりこの公演があって、ヤッタ!だったのです。久しぶりに会う方がいると思うと、ドキドキする私。受付で、お久しぶりです〜と制作のK女史に御挨拶。あたふたと精算していたら「むー、久しぶり〜。」受付にも知り合いが座っているとは思わなかったので、更にあたふた。落ち着け、私。

 と言うことで、会場へ。満席でございます。更に、席が増設されます。ワクワクします。客入れの音楽は、やたら可愛らしい系。と、聴き慣れたメロディ。「あは」と思う私の心を代弁する様に、斜め前に座っていた少年(小学生?)が「あ、ピタゴラスイッチ!」。

 やがて、開演。

 小さな出会いが、命を生み出して行く、進化。これをいいむろさんが一人で演じる。海から陸に上がって行く進化の過程、と言うモチーフは、ちょくちょくあります。上海さんの舞台でもあったなぁ。いや、2劇でもありましたな。だからこそ、演者、演出の違いが際立つと言うことでもあるか。と言うことで、オープニングは、楽しむと言うより興味津々。あ、恐竜になるのね。そこからどうするかと思ったら、隕石来ちゃった。恐竜滅亡。その影で生きていた物が更なる進化、人へ。恐竜滅亡が、ちょっと切なかったです。
 そして、カンパニーの人たち登場。白手袋でブラックライト。あぁ、また、2劇を思い出すではないですか。いや、2劇のドタバタっぷりと並べちゃいかんか。あくまで、美しいです。やがてその手が集まり、舞台上に白く「WAITING」の文字が浮かぶ。
 暗転、そして明かりがつき、椅子から転げ落ちるいいむろさん。待っている人。
 ん〜、ここからは説明するのはやめとこう。時に一人で、時に多人数で、待つ、ことが描かれる。
 電話が鳴り、待っている女性の“鞄から黒電話の受話器”が出て来た時は、私が椅子から落ちそうになりましたが・・・なんで、いくつも、2劇の芝居を思い出すアイテムが出てくるの〜?
 二人の男が何かを待っているシーン。こ、これは、ゴドー待ちですよね。木らしきものを指し示し、その前で待ってるんだもの。いやしかし、このシーン、ジブリッシュ。あぁ、要するに、でたらめ語です。インプロでやるけど、私はあまり得意ではない。それを、まぁ長いこと長いこと。延々、ジブリッシュの会話が続くのだもの。口あけて見ちゃいました。お見事。

 ソロではなく、カンパニーだから出来る事の楽しさを、いっぱい見せていただきました。いや、楽しかった。
 そして、マイムだから出来る事、マイムでしか出来ない事を改めて考えさせられました。
 確かな技術、でも、やっぱり関西人ないちびりな部分もあって、素敵でした。

 久しぶりに、がっつりマイムってのをやりたくなります。学童でやってるテクニックで遊ぶ、ではなく、語り芝居の中で生かしている、でもなく、マイムでの作品。お題をもらって、必死で頭ひねって身体ひねって・・・ん〜、やっぱり、マイム、好きなのねぇ。自分発見。


 終演後、いいむろさんに、ご挨拶。おそるおそる・・・
「覚えてらっしゃいますか?」
「覚えてますよ〜。」
 そりゃ良かった。ん?でも、お会いしたのは随分前です。どう言う印象が残ってるんですか・・・?